SUUNTO 5は、通常使用であれば、おそよ1週間無充電で使用し続けることができる”スポーツGPSウォッチ”だ。
スマートウォッチとしても差し支えないほど、メールや着信などの通知、PCやスマホとの連携には十分な機能がある。
もともとSUUNTOのデザインはシンプルで、街中からフィールドまでシームレスに使えるものだった。他のアウトドアウォッチに見慣れているとのっぺりとした印象を受けるが、実物を見るとその印象は覆される。アウトドアはもちろん、ビジネスや普段使いに装着していても馴染むデザインで、ビスや彫り込まれたベゼル部が控えめながらも堅牢なイメージを作り出しているように思う。
時計としてのフィット感は、シリコンバンドの使用でフィット感も良好。長年アウトドアウォッチを手がけていたメーカーだけあって手首の動きを妨げない。心拍計の機能を活かすためにはフィット感を高めないとならないので、手首に沿った曲線と伸縮性のあるシリコンバンドの組み合わせ、ホールの間隔などが絶妙になっている。汗をかくことが多い夏場や運動時には若干の不快感を伴うが、50mの防水性能もあり、必要であれば丸洗いできるので清潔に保つことができる。
操作性やアプリの使い心地は、タッチパネルはないものの、本体に備わった5つのボタンでほぼ操作が完了。手袋をしていても操作ができるなど、物理ボタンの意義はアウトドアで使用する際に発揮されるだろう。
「エクササイズ」では、ジョギングやトレイルランニングなど様々なモードがある。登山、トレッキングなどのアウトドアには、「登山」モードがあり、ペース配分や休憩などのタイミングを確認したり、「トレイルランニング」では区間タイムの確認などが可能。
「ナビゲーション」では、指定したルートを表示し案内するだけでなく、100m以上ルートから離れるのを検知するとルートから外れていることを知らせてくれるので、道迷いなどの事故、遭難から守ってくれる。ルート設定はSUUNTOアプリなどで行える。
他のスマートウォッチと比較しての利点は、何と言ってもバッテリー寿命の長さだろう。通常使用で1週間弱もつのは嬉しい。また、充電方式がクリップ方式で簡単にかつある程度しっかりと保持でき、充電中に外れることがないのが良い。
アプリのアップデートのやり方も、PCにつなぐとアプリが立ち上がって同期やアプリのアップデートが開始されるのが便利だ。
一方で、他のスマートウォッチ、スポーツウォッチと比較して改善や機能強化を求めたい部分もある。バックライト点灯の機能は、自動モードのほかにモーション点灯などがあると嬉しい。特にアウトドアでの使用は、片手がふさがっているなど複雑な操作をしたくない状況もあるので、ワンアクションで起動するモードが欲しいところだ。さらに、心拍計があるのは嬉しいが、センサーが高度計だけなのは物足りない。気圧計などアウトドアウォッチに必要な機能が備わっていて欲しいと思う。
Apple Watchなど機能が豊富なスマートウォッチをすでに使用していると物足りない面もあるが、それと比較しても良い点もあり、最初のスマートウォッチ、GPSスポーツウォッチとしては適しているように思う。スマートフォンとの連携が必須なApple WatchやWear OS by Google(Android Wear)搭載スマートウォッチと比べ、単体利用でも最低限の機能が使える点も、スマートウォッチビギナーにもオススメできるポイントと言える。5万を切る価格もコスパを気にする人にはまずまずの点だろう。
