「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」先端科学技術研究センターのワークショップ「大震災の時の食べ物を科学しよう」

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「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」では、中学生・高校生を対象に、駒場リサーチキャンパスで行なわれている研究をわかりやすく紹介する見学コースや、身近なテーマの実験、実習に参加できるワークショップなどが設けられており、未来の科学者が多く訪れていました。

「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」では、上記のような研究室での研究成果発表、展示の他に、小中学生が参加できる「理科教室」も開催されました。

取材ができたのは、先端科学技術研究センターのワークショップ「大震災の時の食べ物を科学しよう」で、講師の方は「ようこそ 子どもBOSAIカフェへ」などにも登場されている方で、1300万人あまりが住む大都会東京で大震災が起こった時、どのような食べものがどれだけあれば生き残れるのか、と言うシミュレーションや、実際に防災食を作って食べるという内容でした。

まず最初に、東京都の食料自給率について問いかけがありました。口々に10%とか30%とかの声が上がりましたが、正解はわずか1%。思いもよらない数字に会場内にも静かなざわめきが起こります。次に、災害を想定した食料備蓄はどれくらいあれば良いか、という質問には、3日とか1週間などの声が上がりましたが、阪神淡路大震災以降、東日本大震災以前では、確かに3日分の備蓄が推奨されていましたが、東日本大震災を受けて政府が定めた緊急事態食料安全保障指針では「最低でも2週間分の食料品を備蓄することが望ましい」とされている事が説明されると、無理だーという声もあがりました。

とは言っても、日持ちのする野菜や缶詰、菓子類なども含めて2週間分があれば良いという事で実際に1日分の食料備蓄を考えてみようというアクティビティ(実習)が行われました。中央のテーブルに用意された様々な食料を好みや保存性などを考えてグーループで相談して選びました。好きな食べ物やお菓子、果物などを用意するグループや、缶詰など保存や栄養素など機能重視で選ぶグループなど、テーブルごとに個性が出ていました。選んだ後は講評が行われて、カップ麺やフリーズドライ食品などは調理のためのお湯などが必要で、飲料水とは別に必要である事や、お湯を沸かすための燃料や容器も必要であるなどの補足事項も説明されました。なによりも、災害直後から当面の防災(非常)食料には、栄養素やエネルギーの摂取という面だけでなく、お菓子や好きな食べ物などを入れれる事で、災害の直後で沈んだ気持ちを少しでも明るくする、ちょっと嬉しい気持ちになるような工夫も必要だと日常と非常時の食べ物の選び方の違いなども説明がありました。

その後、備蓄した非常食の選び方ポイントなどが解説された後、長期の食料不足に対応するために、短期間で成長する植物の種子を備えておく事が提案されました。タネ団子と名付けられた10種類以上の種子と土、粘土を混ぜ、団子状に丸めたものは、土に埋める事なく地面に撒いて水を与える事で発芽、成長するという事です。もちろん、これだけではお腹いっぱいにはなりませんが、野菜分が不足する非常時に、パセリやバジルなどの添え物があるだけでも違うのでは?という話でした。

最後に、高野豆腐を使用した防災食を作るアクティビティが行われました。高野豆腐が素材として選ばれる理由は、乾燥していて日持ちがするという事と、豆腐を乾燥させたもので栄養価が高いという事からだそうです。今回は、塩や醤油などで味付けした「おかず」としての「ハンバーグ」と、ココアパウダーや砂糖などで味付けした「スーイーツ」としての「ドーナツ」のどちらかを選んで作る事になりました。

味見をしながらちょっとづつ調味料を足してゆく人、好きな調味料をどんどん入れてゆく人など様々でしたが、出来上がった「ハンバーグ」や「ドーナツ」を試食した感想は好評でした。全体的には、慎重に調味料を加減していた人よりも思い切って使用していた人の方がおいしく出来ていたようです。
最後に、日頃からの食料備蓄はもちろんの事、家庭菜園までゆかなくともベランダ菜園のようなレベルでも野菜などを育てておく習慣を付ける事、小中学生でも工夫をして料理する事が大事だという事がまとめとして説明がありました。

Life Seed Labo
http://doit-japan.org/lifeseedlabo/

ようこそ 子どもBOSAIカフェへ
http://www.nhk.or.jp/sonae/mirai/program_cafe/index.html