都内で行われた「au新商品説明会」を取材。800MHz帯の優位性などに関しても詳細を確認した。
プレゼンテーションを行ったのは、KDDI株式会社 取締役執行役員専務 石川雄三氏。石川氏によると、auでは2013年8月17日時点で、800MHz帯のLTE基地局を32,000局、新規に認可を受けており、それはNTT docomoの2,000局と比べても圧倒的な数で、2.1GHz帯を併せた(iPhone 5c/5s対応の)LTEエリアは、3キャリア中ダントツのトップであるという。
また、この800MHz帯に関しては、年度末までに実人口カバー率99%を目指しさらに増設してゆくとの事(現在は97%)。併せて2.1GHz帯のLTEもエリアを拡大させる予定で、こちらは年度末までに80%超を予定している(現在は72%)。800MHz帯の拡充に意欲的な理由として、800MHz帯が、高速移動中や屋内などモバイル通信においてシビアな条件でも比較的安定したパフォーマンスを出せる点にあると言う。実際、東海道新幹線の東京ー新大阪間(トンネル区間含む)においてLTEから3Gへのハンドダウンの回数は平均2.1回以下であるとの自社調査結果を交え解説があった。
続いて、iPhone 5s/5cに適用されるパケット定額料金などの説明があった。LTEフラット(7GB)は、従来通りスタート割(i)適用で5,460円/月、auスマートバリュー適用時は4,505円/月となる。その他スマートフォンとタブレットを用途に応じて使い分けたいというニーズに対応した「データシェアプラン」も発表された。LTEスマートフォンとLTEタブレット2台契約時に、データ通信量を2台で9GBまで定額で使えると言うもの。その際タブレット側の月額通信料は1,050円/月で、それぞれ単独で契約するよりも実支払額でお得になっている。※データシェアプランは2014年春からだが、それまでの間は、LTEタブレットの通信量は7GBのままデータ通信料が1,050円で使えるキャンペーンが行われる。
最後に、既存ユーザの買い替え(機種変更)に際して、iPhone 4sに加えiPhone 5を追加する事が発表された。iPhone 5で最大28,000円と高額買い取り(下取り)となっており、一部ユーザ(長期利用者)に送られたクーポン、オンライン予約割引なども併用すると、かなりの値引額となる。購入に際しては、auショップ、PiPit(トヨタディーラー内)、直営店、量販店などをあわせて6,000店舗で販売。ネットで予約して店舗で購入する事で、購入時の煩雑さ、混雑を緩和出来るのではないかとの事。
最後に、iPhoneなどスマートフォン用アクセサリ100種類以上をauショップ、直営店、オンラインストアにて発売すると言う案内も。auポイントでも購入出来ると言う。取り扱いアイテムとして、ウェアラブルログデバイスの「SHINE」が紹介された。docomoが「Jog style(オムロン)」、ソフトバンクが「Fitbit」を取り扱っており、各社のラインナップが揃ったという感じだ。
プレゼンテーション終了後、質疑応答にてiPod Styleからは800MHz帯の基地局の整備状況の詳細などを質問した。一部詳細はレポート内に含めたが、今回発表した32,000局のLTE基地局は、新設する基地局として認可されたもので、既存の3G局を置き換えるものではないと言う事、認可後速やかに工事が行われ、数ヶ月後には稼働が開始される事などが明らかになった。また、既存の3G/LTE基地局に関しては、3G、LTEを10M幅づつ使用しており、10M幅のLTEでは最大111.2Mbpsの通信速度が出るが、ユーザのボリュームによって3GとLTEのバンド幅の割り振りをリニアに調整してゆくことで、どちらのユーザも快適に使用出来るようにする計画との事。LTEのバンド幅は最大15Mまで拡張でき、その場合800MHz帯、2.1GHz帯ともに最大150Mbpsのデータ通信が可能になるという。iPhone 5s/5cでは仕様上150Mbpsの通信速度は出ないが、今後のAndroid端末などで対応した端末が出た場合、体感できる可能性があると言う。
今回の新商品発表会の取材から、au(KDDI)のプラチナバンド(800MHz)帯でのエリア、品質などへの自信がうかがえた。それは、端末価格の発表が一番先であった事からも伺える。各社の状況を総合的にみると、少なくとも2014年いっぱいまではauの優位は崩れないだろう。しかし、年々新しい通信規格が誕生し、新たな周波数帯を獲得している各社の状況下では、数年後の優位はどのキャリアになるかは未知数だ。現在の優位性に甘んじず、快適な通信環境の整備を継続してもらいたい。