自宅または、職場、もしくは両方に、最低3日~5日程度賄える非常用品を備えておくと、職場から自宅への帰宅や、職場または自宅から避難所へ避難および救援が来るまでの当座の生活を支えてくれる。今回ご紹介する非常持ち出し袋は、あくまでも一例なので、これらを参考にして、自分自身で必要と思うものを各自で揃えてみてはどうだろうか。また、今回紹介する非常持ち出し袋は、先に紹介した「常時携帯用非常用品」と組み合わせる事でより効果的に活用することができる。
40リットル程度の容量のバックパックに追加で非常用品が封入されたウェストバッグ(エマージェンシープロビジョンズ)および、スタッグ(杖)のセット。杖の頭にはコンパスが取り付けられており、カバーを外すとカメラの一脚としても使えるものだ。杖を使用すると、地割れやガレキで足場が悪い状態でも安定して歩くことができるほか、疲労も軽減できる。
最長1週間を乗り切るための、非常持ち出し袋を独自に作ってみよう。
デパートや通販でも、「非常持ち出し袋」として様々なものが販売されているが、価格を抑えるためにそれぞれの単体のグッズの出来が粗末だったり、種類が少ない事が多い。また、基本セットを購入して自分で買い足そうという人も居るだろうが、そもそもバッグの容量が少ないケースもある。それならばいっそ自分で一から揃えてしまおう、というコンセプトで今回非常持ち出し袋の一例をご紹介する。
まずは、ラジオ。ここでは「SONY 手回し充電ラジオ「ICF-B02」」をパッキングしている。手回し充電と乾電池に対応して、ライトも付いているので防災用としては完璧な仕様。防滴なので屋外での使用にも安心。近日中に、スマートフォンの充電に対応したニューモデル「FM/AMポータブルラジオ ICF-B03 」が発売されるので、今から買う場合にはこちらも検討すると良いだろう。単四乾電池で動作するので、予備の乾電池も一緒に入れておくと良い。
続いて、ランタン(ライト)。ここでは、「ブラックダイヤモンド オービット」を用意。「SONY 手回し充電ラジオ「ICF-B02」」と同じ単四乾電池を使用しているので、予備の乾電池をどちらにも使用することができる。地面に立てて置いたり、壁や天井などから吊るして使用するなどできるのが便利。
半透明のブルーのボトルは「サバイバル・ボトル」で、何かの展示会のノベルティとしてもらったものだ。それ自身が1リットルの水筒となり、中にはアルミシートやポンチョ、ホイッスルなどが封入されている。そこに「スイス・アーミーナイフ」や扇子、マジックペンなど濡らしたくないものを追加で収納している。「スイス・アーミーナイフ」は、どのモデルを選ぶかというのは悩ましいところだが、「サイバーツール」というモデルには、各種ドライバーなども含まれているので、何かと便利だろう。
これらをアップルストアで商品を購入した時に入れてもらえるバッグに入れている。サイズ的にもちょうど良いし、場合によっては背負う事も可能な簡易ナップサックとしても使用できるからだ。これらのキットは、「エマージェンシープロビジョンズ」とあわせて会社用として備えておくのに最適なキットになる。自宅に帰り着いたら、以下で紹介する非常持ち出し袋とあわせる事で、より安心で確実な装備となるだろう。
会社用など帰宅支援用備品、またはリュックと別にすぐ取り出せる状態で保管するグッズ | ||
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品名 | 備考 | |
SONY 手回し充電ラジオ「ICF-B02」 | ホイッスル付き、予備の乾電池8本同梱 | |
ブラックダイヤモンド オービット | 単四乾電池使用のランタン | |
サバイバル・ボトル | 既存のキットに独自のグッズを追加 | |
スイス・アーミーナイフ | キャンパー、サイバーツールなどがおススメ | |
ウィンドウブレーカー | 防水性は無いが、簡易な防寒用として | |
マスク・ウェットティッシュ | いくつあっても良いもの | |
三角巾(手ぬぐい、バンダナでも可能) | 包帯代わりからいろいろと活用可能 | |
ビニールテープおよびガム(布)テープ | 破れた箇所の修繕から本来の用途まで | |
飴、塩、その他小袋入りの調味料 | 塩、砂糖、胡椒など腐らないもの | |
筆記用具 | 手帳や油性マジック、サインペンなど | |
サングラス(ゴーグル) | レンズは透明のものを選択 | |
ヘルメット(ヘッドライト付き) | ライトは単四乾電池使用のもの | |
エマージェンシープロビジョンズ | ウェストポーチに9食分の食料と水などが封入 |
続いて、非常持ち出し袋に収納しているグッズを紹介するが、今回は、参考までにざっくりと紹介する。
非常持ち出し袋で容量と重量を食うのが水なので、浄水器は必須。「スーパーデリオス」は、マヨネーズの容器程度の大きさでキャップ部に浄水機構があるタイプ。18秒で300ミリリットルの浄水が可能で、最大200リットルの水を処理できる。病原細菌、雑菌、カビ、濁り、塩素や泥などのニオイを処理することができるが、化学薬品などが含まれているなど処理できない水もあるので使用前に確認が必要だ。
折りたたみ水筒、ナルゲンボトル、簡易浄水器
サイリューム、ポリ袋、 |
リュックサックカバー、シュラフライナー
バスタオルなど |
水筒は、折りたたみ式の「プラティパス」およびポリカーボネイト製の「ナルゲン」で、それぞれ1リットル。「ナルゲン」は、圧で壊れやすいものを入れておいたりする容器にも使え、「プラティパス」は使用しない時はコンパクトになるので、便利。複数あると良いのは、水を汲む→「スーパーデリオス」で浄水→処理された水を入れるという際に、2つの容器があると便利なため。また、時間のある時に水を多く確保するなどの際にも容器があればそれができる。
リュックサックカバーは、災害の後には雨が降る事が多いので、必須と言える。ザックに標準装備の場合もあるので、確認してから準備すると良いだろう。これからザックを揃える場合には、カバーが付属しているものを選ぶとサイズが合わないという事も無く面倒が無い。シュラフライナーは、各種あるが、シュラフよりコンパクトになり、アルミシートやエマージェンシーシュラフ、エマージェンシーブランケットを使用した場合の不快感を軽減してくれる。アルミやプラスチック素材のエマージェンシーシートは通気性が無いため、蒸れて不快になるので、内側にバスタオルやシュラフライナーがあると幾分か快適に過ごせる。
下着と靴下3組+防寒下着と靴下2組
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ウールのセーター
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下着類は、当面支援が無いと考えた方が良い。3シーズン向けで3組(上下、靴下)に加え、冬用の防寒下着(タイツやロングスリーブシャツ)を1組~2組あると良いだろう。加えてウールのセーターまたは化学繊維のダウンなどを防寒用として準備しておきたい。その他着替えとしてチノパン、綿シャツ程度のものが1組あれば、最悪寝間着で逃げ出しても何とかなる。
簡易トイレ/携帯トイレ(10枚)
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ウェットティッシュ、3M製N95マスク
不織布の折りたたみトートバッグ |
衛生用品としては、簡易トイレやウェットティッシュ、マスク類その他手指消毒薬などに加え、ファーストエイドキットを準備。マスクはサージカルマスクのような簡易なものとN95マスクのような粉塵を防ぐものと複数種類、複数枚数、用意しておくと良い。
衛生キット(ファーストエイドキットなど)
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衛生対策セット
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その他に、サブバッグとして使用できる折りたたみ式のナップサックやトートバッグなどがあると便利。一度梱包を解いた荷物はかさばる場合が多いのであぶれた荷物を一時的に入れておいたり、途中で調達した食料や備品を入れておく場合にも有用。その他、防水チャック付きのプラスチックバッグ(ジップロック)などを余分に入れておくと、iPhoneなどの防水用や簡易水筒などに使用できる。それぞれの装備品をジップロックに入れておけば、防水といざという時の転用にも使える。小分けにしておけば、ザッグの収納、仕分けも便利だ。
水のペットボトル×3およびチタンカップ
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食料各種(アルファ米、カロリーメイトなど)
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水、食料は自分が好みのものをメインに各種バラエティを持たせた方が良いだろう。とはいえ、水は多く持つと重くなるので最低限(1.5リットル~2リットル)にする。完全になくならないうちに、浄水器で確保する必要がある。このキットでは、「エマージェンシープロビジョンズ」を追加で装備しているので、追加の食料はアルファ米×3、カロリーメイト×3、缶入りドロップ、インスタントコーヒー、ティーバッグなど6食~9食分。おおよそ5日分の食料だが、調節する事で1週間くらいまでは持ちこたえられる量になっている。
乾電池とライト、充電器
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食器とガスコンロ
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水や食料があっても燃料が無いと調理できず困るので、アルファ米やレトルト食品など必要なお湯を沸かすための燃料とコンロなどの器具を用意する。ここではガスコンロを使用しているが、固形燃料でも問題ない。燃料の目安は、必要な燃料の1.5倍くらい。諸条件で余分に燃料を必要とする場合もあるのでできるだけ余裕を持ちたい。余裕があれば、浄水器だけでは心配な水質だった場合、煮沸消毒を行う事もできる。
乾電池やライト、携帯充電器などは、同じ乾電池で使用できるように揃えておく。単三乾電池が入手のしやすいはずなので、単三乾電池で揃えておくのが良いだろう。充電ケーブルは断線する可能性もあるので、2組用意しておくと良いだろう。乾電池は、液漏れが無いかなど定期的にメンテナンスする必要がある。ちなみに、3年くらいで3割くらい液漏れしている。
ヘルメットとヘッドライト、ゴーグル
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サイリュームとポリ袋、ジップロック
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その他便利なものとして、ポリ袋がある。汚れた下着を入れたり、ゴミ袋として使う、けが人を手当てする際手袋が無い場合には簡易バリアとして使用、簡易トイレを使い切った場合、等の他に、食器にかぶせて使用すると、食器を汚さない。食べ終わった後、出たゴミを入れれば一石二鳥だ。
サイリュームは、震災直後でガス漏れの恐れがある場合、ライトなどの乾電池の消耗を最小限にしたい場合の照明として、また、救援を呼ぶ合図などにも使用できる。グループで避難する場合には、先導に持たせる事で目印にもなる。高輝度短時間タイプと、長時間タイプがあるので、両方用意して目的に応じて使い分けるのが良いだろう。
非常持ち出し袋パッキングリスト | ||
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品名 | 備考 | |
防水ポンチョ×2+レジャーシート | ポンチョは2枚あわせるとテントになる | |
新聞紙、ビニール袋 | 使い道いろいろ | |
割り箸、プラスチックの箸、フォーク、スプーン | コンビニでもらったり100円ショップなどで | |
下着セット(3組)+防寒下着(2組) | 基本下着は夏(3シーズン)向けで用意 | |
セーター(ウール) | 旅行用圧縮パックに入れて容量を少なくする | |
着替え(チノパン、綿シャツ) | 最近着なくなったものでも可能 | |
タオル、バスタオル | 防水バッグに収納しておく | |
歯ブラシ・ヘアブラシ・石鹸・水のいらないシャンプーなど | 水のいらないシャンプーは、使い方にコツがあるので、別コーナーで紹介予定 | |
ウェットティッシュ | 詰め替え用など少し大きいものを | |
携帯トイレ | 始末用の密封袋が付いているものがベスト | |
水筒(「プラティパス」「ナルゲン」) | ナルゲンボトルは易損品のコンテナとしても有用 | |
浄水器(スーパーデリオス) | 最大200l処理できるので予備のフィルタまでは不要 | |
リュックサックカバー | 災害の後は雨が降る場合が多い、装備を濡らさないために | |
シュラフライナー | アルミシートの内側に使用する事で、快適さアップ | |
防寒着(レインジャケット) | できればゴアテックス製のものがおススメ。 | |
食器類(金属製のカップ、ボウル、ディッシュ) | キャンプ用の組食器などがおススメ。 | |
食料(アルファ米、カロリーメイトなど) | なるべくバラエティがあった方がよい。 | |
燃料(ガスコンロなど) | 食料がお湯を必要とする場合、必要な燃料×1.5程度 | |
乾電池、ライト、充電器 | 自分の機器に必要な分量を用意 | |
ファーストエイドキット | 必要な常備薬や消毒薬など(詳細は別途紹介) | |
衛生対策キット | 手指消毒やうがい薬その他感染防止用品、虫除けなど | |
サイリューム | ライトの代わりやガス漏れの恐れがある場所で使用 | |
ポリ袋 | ゴミ袋や簡易トイレ代わり、食器を汚さないために | |
ヘルメット・ゴーグル・ヘッドライト | ヘッドライトはヘルメットに付けられるタイプが良い | |
手袋(軍手、革手袋など) | 軍手よりも革手袋などが良い |
その他保護具として、ヘルメット、ゴーグル、手袋などがある。ヘルメットにはヘッドライトを取り付けておけるのが良い。ゴーグルは、防塵防煙、および寒さや雨などから目を保護するために使用。手袋は革手袋や防刃繊維を使用したもの、革が補強されたナイロン製など保護性能が高いものの方が良い。軍手だと、ささくれたものやガラスの破片などからは手を保護しにくい(無いよりましだが)ので、軍手の他に、もう一つ、あると良いだろう。
2分で水を沸騰させて、コンロとしても使える「JETBOIL(ジェットボイル) PCS FLASH 」
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燃料および容器としてもう一つおすすめなのが「JETBOIL(ジェットボイル) PCS FLASH 」だ。お湯をかわす容器とコンロが一体になっており、2分で500mlの水を沸騰させることができる。容器の中にコンロ部とガスボンベが収納できるのでコンパクトなうえ、燃料の消費が少ない(燃費が良い)ので、これ一つで十分という点も良い。お湯を沸かす容器を取り外して通常のコンロとして使用する事もできるので、必要ならば煮物焼き物の調理も可能。